監修:信州大学医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授 関島 良樹 先生
患者と家族のコミュニケーション
あなたがこの病気を発症する
可能性について
この病気を発症する可能性を考えるためには2つのポイントがあります。
1つはこの病気の原因となる変異型TTR(トランスサイレチン)遺伝子が受け継がれているかどうかですが、この変異型TTR遺伝子が親から子に引き継がれる確率は50%であることがわかっています1)。
もう1つは変異型TTR遺伝子をもっている場合に発症するかどうかです。
この病気は、変異型TTR遺伝子をもっていても生涯発症しない場合があることがわかっています。しかし、変異型TTR遺伝子をもっている場合に、発症する可能性と発症しない可能性について、その確率はわかっていません。また、発症する人と発症しない人でどのような違いがあるのかもわかっていません。そのため、高血圧や糖尿病のように生活習慣に気をつけることで病気を予防する、ということができませんので、病気を発症する可能性があるということを知り、疑わしい症状が出た場合には早く医師に相談することが重要です。
この病気を発症する原因となる変異型TTR遺伝子があなたにも引き継がれているかどうかについては、「発症前診断」という検査によって調べることが可能で、変異型のTTR遺伝子を有していないことが確認された場合にはこの病気を発症することはありません。「発症前診断」についてはこちらで詳しく紹介しています。
1)植田 光晴ほか:“アミロイドーシスの診断” 最新アミロイドーシスのすべて— 診療ガイドライン2017とQ&A 安東 由喜雄 監修
1 医歯薬出版:32, 2017
※トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、遺伝性ATTRアミロイドーシス、ATTRvアミロイドーシス、hATTRアミロイドーシス、ATTR-FAP、TTR-FAP、FAPと呼ばれることがあります。