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トランスサイレチン型家族性アミロイド
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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはどんな病気?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの概説

監修:信州大学医学部 脳神経内科、
リウマチ・膠原病内科 教授 関島 良樹 先生

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーとは?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは末梢神経障害と呼ばれる病気のひとつです。脳や脊髄を中枢神経と呼ぶのに対して、脳や脊髄から枝分かれして、目、皮膚、手足、内臓など体の各部に向かって全身に広がる神経を末梢神経と呼びます。末梢神経は、①運動神経(手足や内臓の筋肉の動きを伝える)、②感覚神経(痛みや温度を伝える)、③自律神経(内臓やホルモンの分泌を調整する)の3つの働きをしています。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーでは、末梢神経に壊れたタンパク質のかたまり(アミロイドと呼ばれます)がくっついてたまり、本来の神経の働きを失わせることで、さまざまな症状が起きることが分かっています。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはアミロイドが原因の末梢神経障害のひとつです。

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーってどういう意味?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーという病名には下記のような意味があります。

トランスサイレチン型:トランスサイレチン(略してTTR)と呼ばれるタンパク質が原因であることを意味します。

家族性:遺伝が関係していること、ある家族(家系)に起きやすい病気であることを意味します。

アミロイド:壊れたタンパク質のかたまり(アミロイドと呼ばれます)が神経やさまざまな臓器にくっついてたまることを意味します。

ポリニューロパチー:末梢神経に障害が起きる病気であることを意味します。

なお、TTR-FAPは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーという病気の英語名(Transthyretin-type Familial Amyloid Polyneuropathy)の略称です。

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの原因は?

トランスサイレチンと呼ばれるタンパク質の遺伝子の変化(変異)が原因です。血液の中にあるトランスサイレチンが遺伝子の変異によって壊れやすくなり、壊れたタンパク質のかたまり(アミロイドと呼ばれます)が神経やさまざまな臓器にくっついてたまります。アミロイドがくっついてたまると、神経や臓器に障害が起こります。

アミロイドが形成される過程(仮説)

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状は?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの初期症状は人によりさまざまですが、足先のしびれ感、脱力、原因不明の緑内障や硝子体混濁などの眼の症状、男性ではインポテンツなどがみられます。心臓の症状からトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーだと分かった人もいます。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状はひとつとは限りません。全身に複数の症状があらわれることがほとんどです。数年のうちに、少しずつ症状が悪くなっていく傾向があります。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーにみられる症状

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関係ないと思っていた2つの症状、どちらもトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーに由来しているかも?

たとえば「足先がしびれる」、「下痢と便秘を繰り返す」という2つの症状は、別々の原因を考えてしまいがちですが、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの場合、全身にはりめぐらされた末梢神経の病気ですから、どちらの症状もあらわれる可能性があります。ですから、医師に相談するときに、今悩んでいる全身の症状を伝えることが大切です。

思いもよらぬ症状が、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーに由来している可能性があります。

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別の病気だといわれていても、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーである可能性はありますか?

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはさまざまな症状がみられ、他の病気の症状のあらわれ方と似ていることがあります。症状が似ている病気は数多く、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーと診断されるまでには長い年月を要することがあります。

別の病気だといわれていても、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーである可能性があります。

その他の症状が似ている病気

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはどのような人がなりやすいのですか?

トランスサイレチン(TTR)をつくる遺伝子に変化(変異)のある人がこの病気になりやすいことが分かっています。ご両親や血のつながりのある兄弟姉妹にトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの遺伝子変異のある方は、ご自身も遺伝子変異をもっている可能性があります。ただし、遺伝子の変異をもっているすべての方がトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーを発症するわけではありません。症状が出てくる年齢は、20~30歳代の方もいれば、50歳以降になって症状が出てくる方もいます1)

トランスサイレチン(TTR)をつくる遺伝子に変化(変異)のある人がこの病気になりやすいことが分かっています。

1)植田 光晴ほか:“アミロイドーシスの診断” 最新アミロイドーシスのすべて— 診療ガイドライン2017とQ&A 安東 由喜雄 監修
1 医歯薬出版:32, 2017

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どのような治療法がありますか?

病気の進行を抑える治療法(肝移植、薬物療法)と、病気によって現れる症状をやわらげる治療法(対症療法)があります。

病気の進行を抑える肝移植、薬物療法と、症状をやわらげる対症療法があります。

※トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、遺伝性ATTRアミロイドーシス、ATTRvアミロイドーシス、hATTRアミロイドーシス、ATTR-FAP、TTR-FAP、FAPと呼ばれることがあります。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは早期診断が大切な病気です。かかりつけ医、もしくは神経内科にご相談ください。

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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーと症状が似ているため、鑑別する必要のある病気

内科にかかることが多い病気

1. 炎症性 / 自己免疫性
ギランバレー症候群
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)
多巣性運動ニューロパチー など

2. 膠原病性
顕微鏡的多発血管炎
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
多発血管炎性肉芽腫症
非全身性血管炎性ニューロパチー
関節リウマチ
全身性エリテマトーデス
シェーグレン症候群 など

3. 腫瘍性 / 傍腫瘍性
傍腫瘍症候群
リンパ腫
本態性 M 蛋白血症
クロウ深瀬症候群
原発性マクログロブリン血症
多発性骨髄腫 など

4. 薬剤性
一部の抗がん剤 など

5. 中毒性
重金属(鉛、水銀、タリウム など)
農薬(有機リン など)
有機溶剤(ノルマルヘキサン など)

6. 代謝 / 栄養性
糖尿病
尿毒症
ビタミン欠乏(ビタミンB1,B2,B6,
B12、葉酸、ニコチン酸、ビタミンE)
アルコール多飲 など

7. 感染性
AIDS
ライム病
ハンセン病
帯状疱疹 など

8. 遺伝性
シャルコー・マリー・トゥース病 など

9. その他
サルコイドーシス
AL アミロイドーシス
過敏性腸症候群
拒食症 など

整形外科にかかることが多い病気

手根管症候群
肩腱板断裂
腰部脊柱管狭窄症

小池春樹ほか:”図表で見る末梢神経障害” 最新医学別冊 新しい診断と治療の ABC75/
神経6 抹消神経障害 祖父江 元編集 最新医学社:4, 2012より改変