トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーについて知る

よくある質問

監修:信州大学医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授 関島 良樹 先生

監修:信州大学医学部 脳神経内科、
リウマチ・膠原病内科 教授 関島 良樹 先生

Q

1

アミロイドーシスとは何ですか?

A

1

アミロイドーシスとはアミロイド(アミロイド線維と呼ばれる蛋白質)が体にたまる病気の総称です。 たくさんの種類がありますが、全身の臓器にアミロイドがたまる全身性アミロイドーシスと、ある臓器だけにアミロイドがたまる限局性アミロイドーシスに大きく分類されます。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは全身性アミロイドーシスの1つです。

Q

2

末梢神経障害とは何ですか?

A

2

末梢神経(筋肉を動かす運動神経、感覚神経、自律神経)に起こる障害のことをいいます。運動神経に障害が起こると、筋力が低下したり筋肉がやせたりします。感覚神経に障害が起こると、しびれや痛みが現れたり、痛みや熱さ、冷たさなどの感覚が鈍くなったりします。また、自律神経に障害が起こると、下痢、便秘、排尿困難、立ちくらみ、汗が出なくなるなどの症状が現れます。

Q

3

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはどのような経過をたどるのですか?

A

3

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの発症は緩やかですが、その後、症状は徐々に悪化し、症状の範囲は足から手・腕などへと広がっていきます。感覚神経の障害が進んで足の感覚がなくなり、筋力が低下して歩行が困難になった場合には、車椅子を使用することもあります。そのため、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーと診断された場合は、自覚症状の有無に関わらず、できるだけ早くから治療を始める必要があります。症状について詳しくは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状をご覧ください。

Q

4

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーにはどのような治療法がありますか?

A

4

遺伝子変異のあるTTRの95%以上は肝臓で作られている1)ため、発症早期に肝移植を行うことが、病気の進行を抑える有効な治療法です。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーによるさまざまな症状を緩和または軽減する対症療法も有効な手段です。また、アミロイドの形成を抑えるお薬が使用できます。

 

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療法

1.肝移植:病気の進行を抑える治療法
遺伝子に変化(変異)のあるTTRの産生を抑える治療法。

2.薬物療法:病気の進行を抑える治療法
TTRが作られるのを抑える治療法、遺伝子に変化(変異)のあるTTR4量体を安定化する治療法。

3.対症療法:さまざまな症状を緩和または軽減する治療法

1)植田光晴ほか: "遺伝性ATTRアミロイドーシス/トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー"最新アミロイドーシスのすべて --診療ガイドライン2017とQ&A 安東由喜雄監修 1 医歯薬出版: 32, 2017

Q

5

「遺伝」と「遺伝子」はどう違うのですか?

A

5

「遺伝」とは親が持つ特徴の情報が子へと伝えられていくことを指します。この遺伝の現象で主役を担っているのが「遺伝子」です。遺伝子は、あらゆる生物のさまざまな特徴の情報を記録しており、私たちの体はこの情報をもとにし、形作られています。一つの特徴が複数の遺伝子によって決められていることも、一つの遺伝子がたくさんの体の特徴や働きに関わっていることもあります。遺伝子にはいくつものタイプがあり、人それぞれ違うので個性や特徴が生まれるのです。

Q

6

遺伝子は病気とどのように関わっているのですか?

A

6

遺伝子の違いは、病気のなりやすさにも深く関係するといわれています。病気によって遺伝子の関与の大小はさまざまですが、ほとんどの病気の発症に遺伝子が関係しており、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーだけが決して特別ではありません。また、「遺伝性の病気の原因になる遺伝子を持っている人」と「遺伝性の病気を発症している人」は同じではなく、原因となる遺伝子を持っていても発症しない人もいます。

Q

7

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの家族への遺伝の影響が心配です。

A

7

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは遺伝性の病気であるため、ご家族の中にも同じ病気をもつ方がいらっしゃる可能性があります。ご家族はトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの遺伝子を持っていない場合もありますし、原因遺伝子を持っていても必ず発症するわけではありませんが、ご家族にもこの病気を知っていただくことにより、健康管理上の大きな恩恵を受けられる可能性があります。できるだけ病気のことをお伝えいただき、患者さんと似た症状がみられてきた場合には、神経内科を受診するようにおすすめください。

Q

8

遺伝カウンセリングについて教えてください。

A

8

遺伝性の病気であるトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーでは、将来やご家族への影響など、さまざまな問題に悩まれることがあると思います。数は多くはありませんが、遺伝に関するカウンセリングを受けることができる医療機関もあります。遺伝カウンセリングでは、遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーから遺伝や遺伝子、遺伝子の検査結果、疑問や不安に思っていることに関してじっくりと説明を受けられ、今後の方針を決めていくお手伝いが受けられます。実施している医療機関など、まずは主治医にご相談ください。

Q

9

遺伝子検査を受ける場合、費用が高額になるのではないかと気になります。

A

9

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの疑いがある場合(症状がある場合)の遺伝子検査(遺伝学的検査)は保険収載されており、保険診療として検査が受けられます。詳しくは主治医にご相談ください。

Q

10

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療の参考になるサイトを教えてください。

A

10

難病情報センターのサイトをご覧ください。
https://www.nanbyou.or.jp/

 

※トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、遺伝性ATTRアミロイドーシス、ATTRvアミロイドーシス、hATTRアミロイドーシス、ATTR-FAP、TTR-FAP、FAPと呼ばれることがあります。

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